堤麗斗は決して楽な展開ではなかったが、サウジアラビア初登場となった2025年の最終戦で4回フィニッシュを決め、成功と言えるシーズンを締めくくる。ナオヤ・イノウエ対アラン・ピカソがメインを務めた
「ザ・リングV」のアンダーカードで、気骨あふれるレオバルド・キンタナを相手に勝利を収める。 ニューヨークやラスベガスで行われた他のビッグイベントに散らばっていた最初の3試合とは異なり、23歳のスーパーフェザー級コンテンダーは、後退を一切拒まないメヒカリ出身の
キンタナ(12勝2敗、5KO)というタフな相手とオープニングマッチで対峙する。
試合後の通訳付きインタビューで、同世代の相手のスタイルが想定していたものではなかったと認めつつも、イスマエル・サラス指導のプロスペクトは巧みな修正を施し、至近距離での打ち合いを楽しみながら、鮮やかなフィニッシュにつなげる。
4回開始45秒、見事に当てた右フックが終幕の合図となり、数秒後に同じ一撃を再現すると、最後は3連打をまとめて浴びせる。
レフェリーは通常の8カウントを数え、エル・チーノは立ち上がったものの、内容を見て取った主審は納得せず、8回戦の途中で試合を止める。
堤(4勝0敗、3KO)は序盤からフェイントを多用し、パンチの入りを慎重に選ばされる展開となる。巧みな相手のカウンターを幾度も受け、日本人サウスポーは巧妙なアッパーや多彩なパンチで削られる場面もあった。
2回には鼻から出血する場面もあった堤だが、この試金石を乗り越える必要があった。コンピュボックスのパンチ統計がそれを物語る。4回に満たないラウンド数で、両者合わせて276発のパワーパンチが放たれ、堤は頭部、ボディともに高い命中率を記録する。
上のレベルで、より強打の相手と対峙する際には被弾の多さが課題となるものの、元アマチュアの逸材が2026年にランキング入りを狙う上で、前向きな材料は数多く見て取れる。
ガルシアが今永を番狂わせで撃破

続く10回戦では、急きょ代役として出場した
エリドソン・ガルシア(23勝1敗、14KO)が番狂わせを演じ、
今永虎雅(9勝1敗、5KO)を相手にスプリットデシジョン勝ちを収めた。ガルシアは試合中にダウンを奪い、接戦を制した。
慎重な立ち上がりとなったものの、今永はジャブを軸に試合を組み立て、6回終了時点では採点上、大きくリードしていたと見られていた。
しかしその2ラウンド後、26歳の今永にとって試合が終わっていてもおかしくない場面が訪れる。8回、強烈な右フックを浴びてダウンを喫し、壮絶な打撃を受けながら生き残ることで精一杯の状況に追い込まれた。
それでも何とか回復した今永は抵抗を続けたが、試合のテンポは徐々に落ちていった。テキサスを拠点とするガルシアがコンビネーションを次々と繰り出し、疲労を滲ませながらも前に出続け、誰も予想していなかった一戦の後半を支配する形で試合を締めくくった。
結果的に勝敗を分けたのは、このダウンであった。採点は96-93、95-94の2者がガルシア支持、95-94の1者が日本人サウスポーである今永支持というスプリットデシジョンとなった。
試合後、ドミニカ共和国出身のサウスポーであるガルシアは、急きょのオファーを成功させたことに感謝の意を示すとともに、今後はオファー次第で130ポンドから135ポンドの間で戦う意思があることを明かした。